解説シリーズ

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なんだか難しそう・・・

代表者
外山卓夫

一部の解説をしています。まずは、お気軽にご相談ください。

時価に満たない価格での土地等の譲渡についての税務上の扱い

<事例>

 土  地
 時  価:4000万円
 譲渡価格:1500万円
 取 得 費 :1000万円

1.売主(個人) → 買主(個人)
 税 目  税 務 関 係 解 説
売主譲渡所得税 個人から個人への低額譲渡について、売主には時価によるみなし譲渡課税はなし。譲渡価額を基に所得税譲渡所得計算を行う。
時価の1/2未満の低額譲渡で売主に譲渡損失発生時には、その損失はなかったものとして取り扱う。
その場合買主は、売主の取得価額、取得時期を引き継ぐ。 
買主贈与税著しい低い価額の対価で譲渡を受けた場合、土地の譲受価額と時価との差額を売主から贈与があったものとみなされ、贈与税が課税される。(相税7)この場合は時価の1/2に満たない低額譲渡であるか否かに関わらず課税が生じる。路線価を基にした譲渡が「著しく低い価額」での譲渡には当たらないとした事例あり。

事例での贈与税課税価格
2500万円=(時価)4000万円-(譲受価額)1500万円 
2.売主(個人) → 買主(法人)
 税 目  税 務 関 係 解 説
売主譲渡所得税 個人へ時価の1/2以上金額での低額譲渡した場合、その譲渡価額をもとに譲渡所得計算を行う。
時価の1/2未満で低額譲渡をした場合、時価により譲渡があったものとみなす(みなし譲渡課税あり)。
いずれの場合も譲渡損失発生した場合、譲渡損失の通算可能。 
買主法人税






贈与税
法人が著しく低い対価で譲渡を受けた場合、時価の1/2未満か否かに関わらず、時価と購入額との差額を「受増益」として購入事業年度の益金に算入する。

事例での受増益
2500万円=(時価)4000万円-(購入価額)1500万円


同族会社が資産の低額譲渡を受け株式の価額が増加したときは、売主以外の株主が株式価額の増加分相当額を売主から贈与されたものとして贈与税が課税される。
3.売主(法人) → 買主(個人)
 税 目  税 務 関 係 解 説

法人税 法人から個人への土地の低額譲渡では時価と譲渡価額との差額は寄付金として扱う。
買主が譲渡会社の役員である場合には役員報酬となる。

事例での寄付金
2500万円=(時価)4000万円-(購入価額)1500万円

所得税時価と譲受価額との差額は一時所得として課税。
買主が譲渡会社の役員である場合には、給与所得として課税。

印紙税額一覧表

第1号文書
 課税物件課税標準
(1通または1刷につき)
税額
(1)不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書
・・・不動産売買契約書、不動産交換契約書など

(2)地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書
・・・土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書など

(3)消費賃借に関する契約書
・・・金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など

(4)運送に関する契約書(用船契約書を含む)
・・・運送契約書、貨物運送引受所など

 *注(4)の契約書には、乗車券、乗船券、航空券および運送条は含まない
条件以下





10万円200円
10万円50万円400円
50万円100万円1,000円
100万円500万円2,000円
500万円1,000万円1万円
1,000万円5,000万円2万円
5,000万円1億円6万円
1億円5億円10万円
5億円10億円20万円
10億円50億円40万円
50億円60万円
記載契約金が1万円未満 非課税
契約金の記載のないもの 200円
上記(1)のうち、不動産の譲渡に関する契約書で、記載された契約金額が1千万円を超え、かつ平成9年4月1日~平成23年3月31日までの間に作成されるもの




1,000万円5,000万円1.5万円
5,000万円1億円4.5万円
1億円5億円8万円
5億円10億円18万円
10億円50億円36万円
50億円54万円

第2号文書

課税物件課税標準
(1通または1刷につき)
税額
請負に関する契約書
・・・工事請負契約書、工事注文契約書、物品加工注文請書・広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書などなど

 *注 請負書には、プロ野球選手、映画の俳優、その他これに類する者で特定の役務の提供を約することを内容とする契約を含む
以下





100万円200円
100万円200万円400円
200万円300万円1,000円
300万円500万円2,000円
500万円1,000万円1万円
1,000万円5,000万円2万円
5,000万円1億円6万円
1億円5億円10万円
5億円10億円20万円
10億円50億円40万円
50億円60万円
記載契約金が1万円未満 非課税
契約金の記載のないもの 200円
上記のうち、建設業法代2条代1項に規定する建設工事の請負に基づき作成される契約書で、記載された契約金額が1千万円を超え、かつ平成9年4月1日~平成23年3月31日までの間に作成されるもの




1,000万円5,000万円1.5万円
5,000万円1億円4.5万円
1億円5億円8万円
5億円10億円18万円
10億円50億円36万円
50億円54万円

第3号文書

 課税物件課税標準
(1通または1刷につき)
税額
約束手形または為替手形


 *注1 手形金額の記載のない手形は非課税となるが、金額を補充した時は、その補充をした者が納税義務者となる

 *注2 手形の複本または謄本は非課税           
以下





100万円200円
100万円200万円400円
200万円300万円600円
300万円500万円1,000円
500万円1,000万円2,000円
1,000万円2,000万円4,000円
2,000万円3,000万円6,000円
3,000万円5,000万円1万円
5,000万円1億円2万円
1億円2億円4万円
2億円3億円6万円
3億円5億円10万円
5億円10億円15万円
10億円20万円
記載手形金額が10万円未満 非課税
上記のうち、
(1)一覧払いのもの、(2)金融機関相互間のもの、(3)外国通貨表示のもの、(4)非居住者円表示のもの、(5)円建銀行引受手形表示のもの
契約金額
 
記載手形金額が10万円未満非課税
記載手形金額が10万円以上200円

第4号文書

 課税物件課税標準
(1通または1刷につき)
税額
株券、出資証券(投資証券を含む)、社債券、投資信託、貸付信託、特定目的信託もしくは受益証券発行信託の受益証券

 *注1 出資証券とは、相互会社が作成する基金証券および法人の社員又は出資者たる地位を証する文書

 *注2 株券、投資証券については、1株(1口)当たりの払込金額に株数(口数)を掛けた金額を券面金額とする          
以下





500万円200円
500万円1,000万円1,000円
1,000万円5,000万円2,000円
5,000万円1億円1万円
1億円2万円
日本銀行、商工組合、信用金庫の法人の出資証券 非課税

第5号文書

 課税物件税額
合併契約書、吸収分割契約書、新設分割計画書4万円

第6号文書

 課税物件課税標準
(1通または1刷につき)
税額
定款(設立時の原本に限る)      4万円
公証人法により公証人の保存するもの以外のもの非課税

第7号文書

 課税物件税額
継続的取引の基本となる契約書
(契約期間が3ヵ月以内で、更新の定めのないものは除く)
・・・売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、銀行取引約定書など
4,000円

第8~14号文書

 課税物件税額
「預貯金証書(信用金庫等の預貯金証書で預入額が1万円未満のものは非課税)」
「貨物引換証、倉庫証券または船荷証券(船荷証券の謄本は非課税)」
「保険証券」「信用状」
「信託行為に関する契約書(信託証書を含む)」
「債務の保証に関する契約書(主たる債務の契約書に併記する者を除く。身元保証に関する契約書は非課税)」
「金銭または有価証券の寄託に関する契約書・・・株券預り証など」
200円

第15号文書

 課税物件課税標準
(1通または1刷につき)
税額
債権譲渡または債務引受けに関する契約書      記載契約金額が1万円未満 非課税
記載契約金額が1万円以上200円
契約金額の記載のないもの200円

第16号文書

 課税物件課税標準
(1通または1刷につき)
税額
配当金領収証または配当金振込通知書      記載配当金額が3,000円未満 非課税
記載配当金額が3,000円以上200円
記載配当金額の記載のないもの200円

第17号文書

 課税物件課税標準
(1通または1刷につき)
税額
売上代金に係る金銭または有価証券の受取書
・・・商品販売代金の受取書、不動産の賃貸料の受取書、請負代金の受取書、広告料の受取書など

 *注1 受け取り代金とは、資産の譲渡あるいは使用させること(当該資産に係る権利を設定することを含む)による対価および役務の提供をすることによる対価をいい、手付を含む

 *注2 株券等の譲渡代金、保険料、公社債、預貯金の利子などは売上代金から除く                
以下





100万円200円
100万円200万円400円
200万円300万円600円
300万円500万円1,000円
500万円1,000万円2,000円
1,000万円2,000万円4,000円
2,000万円3,000万円6,000円
3,000万円5,000万円1万円
5,000万円1億円2万円
1億円2億円4万円
2億円3億円6万円
3億円5億円10万円
5億円10億円15万円
10億円20万円
記載受取金額が3万円未満 非課税
受取金額の記載のないもの 200円
営業に関しないもの 非課税
売上代金以外の金銭または有価証券の受取書
・・・借入金の受取書、保険金の受取書、損害賠償金の受取書、補償金の受取書など
記載受取金額が3万円未満  非課税
記載受取金額が3万円以上  200円
受取金額の記載のないもの  200円
営業に関しないもの  非課税

第18号文書

 課税物件課税標準
(1通または1刷につき)
税額
預貯金通帳、信託行為に関する通帳、銀行もしくは無尽会社の作成する掛金通帳、生命保険会社の作成する保険料通帳または生命共済の掛金通帳1年1刷の付込みにつき200円
信用金庫等の作成する預貯金通帳、マル優の適用を受ける普通預金通帳等非課税

第19号文書

 課税物件課税標準
(1通または1刷につき)
税額
1、2、14、17に掲げる文書により証されるべき事項を付込んで証明する目的で作成する通帳(18以外のもの)1年札の付込みにつき400円

第20号文書

 課税物件課税標準
(1通または1刷につき)
税額
判取帳1年1刷の付込みにつき4,000円

株式譲渡の低額譲渡・高額譲渡の売主・買主の課税関係

<事例>取得価格200円を

 【1】1000円(適正時価)で譲渡
 【2】700円(時価の2分の1以上の譲渡)
 【3】300円(時価の2分の1未満の譲渡)
 【4】1400円(時価より高額で譲渡)
株式譲渡益に対する税率:所得税15%、住民税5%、合計20%で計算

(1)個人(売主)→個人(買主)の場合

 【1】1000円(適正時価)で譲渡 

譲渡所得  1000ー200=800(円)
譲渡所得税 800×20%=160(円) 

課税関係なし 

 【2】700円(時価の2分の1以上の譲渡) 

譲渡所得  700ー200=500(円)
譲渡所得税 500×20%=100(円) 

時価1000ー取得価格700=300(円)
譲渡された価格と時価(相続税評価額)との差額が「みなし贈与」とされて課税されます。(相続税法7条)なお、この場合の取得価格は、実際の購入価格となります。
 【3】300円(時価の2分の1未満の譲渡) 

譲渡所得  300ー200=100円
譲渡所得税 100×20%=20円  

(1)【2】と同様に、譲渡された価格と時価(相続税評価額)との差額が「みなし贈与」とされて課税されます。          (相続税法7条) 
【4】1400円(時価より高額で譲渡)  

譲渡所得  1000ー200=800(円)、受贈益1400ー1000=400(円)
譲渡所得税 800×20%=160(円)、贈与税400×贈与税率
受贈益に贈与税が課税されます。 

課税関係なし

(2)個人(売主)→法人(買主)の場合

 【1】1000円(適正時価)で譲渡 

譲渡所得  1000ー200=800(円)
譲渡所得税 800×20%=160(円) 

課税関係なし 
 【2】700円(時価の2分の1以上の譲渡) 

譲渡所得  700ー200=500(円)
譲渡所得税 500×20%=100(円) 
通常の譲渡所得の計算となります。ただし、「同族会社等の行為又は計算の否認(所得税法157条)」の規定に該当する場合には、譲渡資産の時価に相当する金額によって譲渡所得を計算するとされる場合があります(所得税法基本通達59ー3)。

時価1000ー取得価格700=300(円)は受贈益となります。この場合の取得価格は時価となります。(*1)

(*1)法人側は全ての取引が法人税法22条により、時価により取引されたものとみなされます。

 【3】300円(時価の2分の1未満の譲渡) 

譲渡所得  1000ー200=800円
譲渡所得税 800×20%=160円
通常の譲渡所得の計算は認められず「みなし譲渡」課税とされます(所得税法59条1項2号、所得税法施行令169条)  

時価1000ー取得価格300=700(円)は受贈益となります。この場合の取得価格は時価となります。(*1)
【4】1400円(時価より高額で譲渡)  

譲渡所得  1000ー200=800(円)、一時所得1400ー1000=400(円)
譲渡所得税 800×20%=160(円)、所得税400×所得税率
時価を超える金額は一時所得として課税されます。 

寄付金課税1400ー1000=400(円) (法人法37条7項)

(3)法人(売主)→個人(買主)の場合

 【1】1000円で譲渡 

株式譲渡益  1000ー200=800(円)
法人税計算に取り込まれます。 

課税関係なし 
 【2】700円(時価の2分の1以上の譲渡) 

寄付金課税 1000ー700=300(円)  (法人税法37条7項)、
買主が役員の場合は役員賞与扱いとされ、損金不算入とされます。(法人税法基本通達9ー2ー10(2))

時価1000ー購入価格700=300(円)について
売主法人の役員であれば給与課税、第三者であれば一時所得として課税されます。
 【3】300円(時価の2分の1未満の譲渡)   (3)【2】と同じ課税です。

寄付金課税 1000ー300=700(円)  (法人税法37条7項)、
買主が役員の場合は役員賞与扱いとされ、損金不算入とされます。(法人税法基本通達9ー2ー10(2))

時価1000ー購入価格300=700(円)について
売主法人の役員であれば給与課税、第三者であれば一時所得として課税されます。 
【4】1400円(時価より高額で譲渡)  

譲渡益 1000ー200=800(円)
受贈益 1400ー1000=400(円)。どちらも法人税計算に取り込まれます。 

他の株主に贈与税が課される可能性があります。

(4)法人(売主)→法人(買主)の場合

 【1】1000円で譲渡 

株式譲渡益  1000ー200=800(円)
法人税計算に取り込まれます。 

課税関係なし 
 【2】700円(時価の2分の1以上の譲渡) 

寄付金課税 1000ー700=300(円)  (法人税法37条7項)、

時価1000ー購入価格700=300(円)は受贈益となります。
 【3】300円(時価の2分の1未満の譲渡)   (4)【2】と同じ課税です。

寄付金課税 1000ー300=700(円)  (法人税法37条7項)
 買主時価1000ー購入価格300=700(円)は受贈益となります。 
【4】1400円(時価より高額で譲渡)  

譲渡益 1000ー200=800(円)
受贈益 1400ー1000=400(円)。どちらも法人税計算に取り込まれます。 

寄付金課税 1400ー1000=400(円)  (法人税法37条7項)

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